「カニで有名な県って、結局どこなんだろう」
「北海道産と書いてあれば、北海道の海で獲れたということ?」
「県名で選んだのに、届いた商品の表示がロシア産だったら戸惑いそう」
今回はこのような疑問をお持ちの方のために、
有名な県が品種ごとに分かれることと、商品表示の産地が何を指しているのかを、公的な資料と実際の表示欄から整理しました。
カニで有名な県は、品種ごとに分かれます。毛がになら北海道、ズワイガニなら福井県のような日本海側の港、ベニズワイガニなら兵庫県や鳥取県、富山県といった具合です。どこが一番かを決める話ではなく、食べたい品種から県を見るほうが、候補を絞れます。
もう一つ、知っておくと表示の読み違いが減る事実があります。水産物の産地は、獲れた海の名前とは限りません。水揚げした港名や、その港が属する都道府県名でも表示できると、国の基準に定められています。県名を手がかりにするなら、この仕組みを先に知っておくと迷いません。
品種がもう決まっている方は、商品ページの原産地の欄から確かめられます。
カニで有名な県は品種ごとに分かれる
「カニ」とひとくくりにすると、県は絞れません。名産地として名前が挙がる場所も品種ごとに違います。公的な資料で確認できる範囲を並べます。
毛がに・ズワイガニ・ベニズワイガニで分かれる県
北海道の資料では、毛がにはオホーツク海と太平洋側に多く分布し、産地としてオホーツク海沿岸一帯と太平洋沿岸一帯、噴火湾が挙げられています。漁法はかにかご漁業です。福井県の資料は、越前がにを「福井県の港で水揚げされるズワイガニ」と説明しています。ベニズワイガニについては、兵庫県、鳥取県、富山県の資料にそれぞれ記載があります。
| 品種 | 公的な資料で確認できる県・海域 |
|---|---|
| 毛がに | 北海道(オホーツク海沿岸一帯・太平洋沿岸一帯・噴火湾) |
| ズワイガニ | 福井県の港で水揚げされたものは「越前がに」と呼ばれる |
| ベニズワイガニ | 兵庫県(香住漁港)・鳥取県・富山県 |
この表は、どの県が上かではなく、どの県の資料にどの品種が載っているかの整理です。漁獲量の全国順位は扱っていません。
品種そのものの違いは食卓から選ぶ蟹の種類、タラバとズワイの体の違いはタラバガニとズワイガニの違いで確認できます。
県名から入ると候補を絞りやすい
県名から入る利点は、品種と漁期が一度に決まりやすいことです。たとえば毛がにを食べたいなら北海道、ベニズワイガニなら山陰や北陸の県、と候補の範囲が狭まります。
- 食べたい品種が決まっている:その品種を扱う県の資料を見る。
- 県が先に決まっている:その県で何が水揚げされているかを見る。
毛がにとベニズワイガニでは、資料に挙げられている海域そのものが違います。同じ県に両方がそろうとは限りません。県名を先に固定すると、食べたい品種が扱われていない場合もあります。
県名を手がかりにするときは、その県で何が水揚げされているかから見ると、商品の候補が自然に絞れます。
商品表示の産地は県名とは限らない
県名を見るとき、商品表示の産地の欄が何を指しているのかを知っておくと、読み違いが減ります。ここは国の基準に定めがあります。
水域名・水揚げした港名・都道府県名のどれでもよい
消費者庁の食品表示基準では、水産物の産地について、生産した水域の名称(水域名)、水揚げした港名、水揚げした港または主たる養殖場が属する都道府県名その他一般に知られている地名、と定められています。
| 表示の書き方 | 何を指すか |
|---|---|
| 水域名 | 獲れた水域の名称 |
| 水揚げした港名 | 水揚げした港 |
| 都道府県名その他一般に知られている地名 | 水揚げした港や主たる養殖場が属する地域 |
この三つは、どれか一つを選んで書く形です。水域名で書けば獲れた海域が、港名で書けば水揚げした港が、地名で書けばその港が属する地域が表示されます。どれで書かれているかによって、読み取れる範囲が変わります。
つまり、表示に県名があっても、その県の沖で獲れたとは限りません。港に揚げた場所の県名でも、基準どおりの表示になります。
県名の表示は、獲れた海ではなく水揚げした場所を示している場合があります。
輸入されたものは原産国名で表示される
輸入された水産物は原産国名で表示され、同じ基準では原産国名に水域名を併記することもできるとされています。通販の商品ページで「ロシア」「米国アラスカ沖」といった表記を見かけるのはこのためです。
原産国名の欄に国名が並んでいても、産地を隠しているわけではありません。地名で書かれるか国名で書かれるかは、その商品が国産品か輸入品かによって決まります。国産品は水域名・水揚げした港名・その港が属する地域のいずれかで、輸入された水産物は原産国名で表示されます。
輸入品に水域名が併記されていれば、国名だけの表示より、獲れた水域までたどれます。ただし併記は任意とされているため、書かれていない商品もあります。県名と国名のどちらで書かれているかを見てから、身入りや形態の欄へ進みます。
福井県|越前がには福井の港で水揚げされたズワイガニ
県名とブランド名の関係が、資料の文章そのものに表れている例が福井県です。
県の説明そのものが水揚げした港を基準にしている
福井県の資料は、越前がにを「福井県の港で水揚げされるズワイガニのことを言います」と説明しています。雄は「硬がに」、雌は「せいこがに」とも呼ばれると書かれています。
ここで確かめておきたいのは、ブランド名が海ではなく港を基準にしていることです。同じズワイガニでも、どの県の港に揚がったかで呼び名が変わります。
「越前がに」という名前は、品種ではなく水揚げされた場所を示しています。
タグは産地をたどる入口になる
同じ資料によると、福井県で水揚げされたズワイガニには黄色いタグが取り付けられ、タグには水揚げ漁港が刻印されています。ここでも基準になっているのは港です。
県の資料が港を基準にしていることは、買う側にとっても手がかりになります。どの港に揚がったかが分かれば、その地域の漁期や決まりをたどれるからです。
タグの読み方は越前がにの識別票と産地証明、解禁日と漁期の流れは越前がにの解禁日と時期で扱っています。松葉がになど呼び名そのものの地図はズワイガニの呼び名にまとめています。

兵庫県と鳥取県|同じ日本海でも品種と漁期が違う
県名が同じでも、港が違えば揚がるものが変わります。兵庫県と鳥取県の資料が分かりやすい例です。
香住漁港は県内で唯一ベニズワイガニを水揚げする
兵庫県の漁港紹介には、香住漁港について「県内で唯一、本漁港で水揚げされるベニズワイガニも隠れた逸品で、その品質の良さから『香住ガニ』と呼ばれブランド化されている」と書かれています。
県内で唯一と書かれているということは、同じ兵庫県の中でも、ほかの港では別のものが揚がっているということです。県名だけでは品種までは決まりません。港ごとに扱う品種が違うため、県名と港名はセットで見ます。買いたい品種があるなら、県名の次に港と品種を見ます。
鳥取県のベニズワイガニ漁は9月から翌年6月まで
鳥取県の資料では、ベニズワイガニ漁業の漁期を「9月1日から翌年6月30日まで」としています。かごの網目についても、内径の長さ15センチ以上などの条件が定められています。
かごの側面の最下部に内径9.5センチの円形の脱出口を3個以上設けた場合の条件も示されています。細かな規定ですが、獲れる大きさに関わる決まりが土地ごとに定められていることが分かります。
ズワイガニの漁期とは期間が違うため、同じ「かに」でも、県と品種によって買える時期がずれます。時期から考えるときはカニの旬と時期、ベニズワイガニの加工や商品の形は紅ズワイガニの缶詰で確認できます。
県名の次に見るのは品種、その次が漁期です。

富山県と北海道|漁法と資源管理が土地ごとに決まる
県の資料には、どう獲るかと、どこまで獲ってよいかも書かれています。ここを見ると、同じ品種でも届く大きさや時期が違う理由が見えてきます。
富山県は沖合のかご縄漁業でベニズワイガニを獲る
富山県の資料では、沖合漁業として「ベニズワイやバイ類を対象とするかご縄漁業」が行われていると説明されています。定置網を中心とした沿岸漁業とは別に挙げられている漁法です。
北海道の毛がには甲長8センチ以上の雄だけ
北海道の資料には、「甲長8cm以上の雄のみしか漁獲を許可しない」とあり、資源対策の取り組みとして説明されています。毛がには水深150メートルより浅く、水温15度以下の砂や砂泥の場所に生息するとも書かれています。
甲長は甲羅の長さのことで、雄だけを対象にした基準です。資料には、この取り組みが資源を後に残すだけでなく、水揚げ金額の増加にもつながったと書かれています。
獲ってよい大きさが決まっているということは、市場に出る1杯の大きさにも幅の下限があるということです。
- どの品種が、どの海域で獲れているか。
- 漁期がいつからいつまでか。
- 漁法と、資源管理のための決まり。
北海道から買うときの見方は北海道のカニ通販、杯や肩といった単位はカニの数え方と単位にまとめています。
資源管理の決まりは土地ごとに違い、それが水揚げされる大きさや時期に表れます。

県名を見たあとに商品ページで確かめる欄
ここまでの話を、実際の商品表示に当てはめます。かに本舗の商品ページで2026年9月17日に確認した例です。同じ店の中でも書かれ方がそろわないことが、そのまま基準の幅を表しています。
産地の欄は国名・海域・道県名でばらつく
同じ店の商品でも、産地の欄の書かれ方はそろっていません。
| 商品(かに本舗) | 原産国名の欄 |
|---|---|
| 生ずわい半むき身満足セット(商品番号403) | 米国アラスカ沖、ロシア、ノルウェー |
| 生たらば半むき身満足セット(商品番号759) | ロシア |
| 北海道紋別浜茹で 毛がに姿(商品番号488) | 北海道 |
毛がにの商品は、名称にも「紋別」という港のある地名が入っています。商品名の地名と、産地の欄は別のものとして読みます。名称に地名があっても、産地の欄を見るまでは何を指す地名か決められません。
毛がにの商品名には「浜茹で」という加熱状態も入っています。名称の欄は、地名・加熱状態・杯数などが一行に並ぶ場所です。名称で見当をつけ、産地や内容量は専用の欄で確かめると、読み違いが減ります。
相場に幅が出る理由はタラバガニの相場、訳ありと書かれた商品の読み方はカニの訳ありで扱っています。
解凍した旨と養殖された旨も表示事項
食品表示基準では、生鮮食品の表示事項として「解凍した旨」「養殖された旨」(いずれも水産物に限る)が挙げられています。産地と同じ並びに出てくる情報です。
県名・原産国名・解凍の有無は、同じ表示欄の中にある別々の情報です。
冷凍で届いたあとの扱いはカニの冷凍賞味期限と解凍の手順で確認できます。
カニの産地でよくある質問
県名と表示の受け止め方で、迷いやすい点を短く答えます。
県名についての疑問
- カニで有名な県はどこですか?
-
品種によって変わります。毛がには北海道の資料に分布と産地が示され、ズワイガニは福井県の港で水揚げされたものが越前がにと呼ばれます。ベニズワイガニは兵庫県の香住漁港、鳥取県、富山県の資料に記載があります。どこが一番かではなく、食べたい品種から県を見ると候補が絞れます。
- 「兵庫県産」と書いてあれば兵庫の海で獲れたカニですか?
-
そうとは限りません。食品表示基準では、水産物の産地は水域名のほか、水揚げした港名や、その港が属する都道府県名でも表示できます。獲れた海の名前を知りたいときは、水域名が併記されているかを見てください。
- 越前がにと松葉がには別の種類ですか?
-
どちらもズワイガニの呼び名です。福井県は越前がにを「福井県の港で水揚げされるズワイガニ」と説明しています。呼び名の広がりは、ズワイガニの呼び名をまとめた記事で扱っています。
表示についての疑問
- 原産国名がロシアだと、国産より劣るのですか?
-
産地の表示は、国産品なら水域名・水揚げした港名・その港が属する地域のいずれか、輸入品なら原産国名を示すものです。味や品質の順位を示すものではありません。身入りや形態、加熱状態は別の欄で確かめてください。
- 「解凍」と書かれた表示はどう読めばよいですか?
-
食品表示基準の表示事項に「解凍した旨」があり、凍結されたものを解凍して販売する場合に表示されます。家庭での保存や再冷凍の可否は、その商品の案内に従ってください。

まとめ|県名は入口で、決めるのは表示欄
カニで有名な県を知ることは、候補を絞る近道です。ただ、最後に買うかどうかを決めるのは、県名ではなく商品の表示欄になります。
県名から表示欄へ移す3つの手順
- 食べたい品種を決める(毛がに・ズワイガニ・ベニズワイガニなど)。
- その品種が水揚げされる県と、漁期を見る。
- 商品ページで産地の欄と、解凍や養殖の表示を確かめる。
県名から入った人がつまずきやすいのは、県名が分かった時点で選び終えた気持ちになることです。表示欄まで進むと、同じ県名の商品でも形態や加熱状態が違うことが見えてきます。
品種・形態・分量の決め方は店を選ぶ前に決める三つの条件にまとめています。県名は候補を見つける材料で、注文の判断材料は商品表示です。
条件が言えたら商品欄で照合する
- 産地の欄が、水域名・港名・県名・国名のどれで書かれているか。
- 解凍した旨や養殖された旨の表示があるか。
- 食べたい品種と形態が、その商品の表示と合っているか。
県名は入口として使い、決めるのは商品表示との照合にします。在庫や商品構成は変わるため、注文するときに表示を読み直してください。
この記事の情報について(出典・要確認事項)
この記事は、消費者庁「食品表示基準」(内閣府令第十号)、福井県「冬の味覚の王者『越前がに』」、兵庫県「香住漁港」、鳥取県「ベニズワイガニ漁業」、富山県「富山県の水産業の概要」、北海道「ケガニ」、およびかに本舗の商品ページ(商品番号403・759・488)の表示を2026年9月17日に確認して作成しています。価格と送料は掲載していません。
漁期・漁法・資源管理の決まりと、商品の産地表示は変更される可能性があります。
